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シェルターが行うべき最優先事項は、引き取る動物の数を減らし、里子に出す動物の数を増やすことにあります。シェルター、動物保護団体、動物愛護団体は、放棄動物と安楽死の数を減らすことにおいて、過去20年間で驚くべき成果をあげてきましたが、まだまだ先は長いです。

言うまでもなく、引き取る動物の数を減らすことなくシェルターのすし詰め状態を解決することは不可能です。引き取る動物の数が減少すれば、スタッフやボランティアがシェルターに滞在している犬のトレーニングにより多くの時間を費やすことができ、より里子に出しやすい犬にし、結果としてシェルターから送り出す頭数を増やすことができるようになるのです。

飼い主がペットをシェルターに引き渡す最大の理由は犬の行動問題です。従って、行動・気質・トレーニングの問題を予防すべく、現在子犬や成犬を飼っている人、あるいはこれから飼おうとする人への教育が常に最優先されるべきで、そうすれば性格やお行儀の良い成犬に育つ子犬が増えていき、結果的に家を追い出されることも、シェルターに引き渡されることもなくなります。

適切な早期トレーニングをしなければ、悪の連鎖が起こることは火を見るより明らかです。子犬の多くは自由を与えられ過ぎたうえ、監視も指導もほとんどされないままに、排泄物で家を汚したり、物をかじるという問題を引き起こします。青年期になると、「成長して悪さをしなくなる」まで、問題を抱えた犬の多くは裏庭に追いやられてしまうのです。

しかし裏庭で一体誰がトイレのしつけをしたり、噛むおもちゃのトレーニングをするというのでしょうか?庭に生えている草木だとでも?一人ぼっちにされて退屈になった犬は、ほどなく次なる予想可能な犬の屋外での悪習を身につけていきます。つまり、掘る、吠える、脱走するという問題です。ご近所から犬が吠えてうるさいと苦情が出れば、犬は地下室やガレージに閉じ込められてしまい、そこでは破壊活動が始まります。独房に入れられた犬の多くは、たまに室内に入れてもらえようものなら大興奮します。また犬によっては非社会化が始まり、人に対して警戒心が強く怖がりになっていきます。最終的に多くの青年期あるいは若年期の犬達はシェルターに引き渡される運命を辿ります。

「大家が犬を飼うことに反対している」「引っ越しする」「時間がない」というのが犬をシェルターに引き渡す際のありがちな理由です。しかし、オープン・ポーの引き渡し時のアンケート(現在は英文でのみオープン・ポー・シェルター・マニュアルで入手可能)を読めば、これら「人間の都合」は、犬に教育をしなかったことへの言い訳にすぎないことがすぐにわかります。「なぜ大家が犬を飼うことに反対しているのでしょうか?」犬が家の中の備品や家具を破壊し、犬の尿が階下に漏れ出し、他のテナントが犬の無駄吠えに対して苦情を申し立てているからこそ、大家が犬を飼うことに反対しているのです。「引っ越しするのですって?ご結婚なさっているのですか?」「はい、しています」「お子さんはいらっしゃいますか?」「はい、います」「ご主人とお子さんとは一緒に引っ越すのですよね?」「そうです」「ではなぜ犬だけ連れていかないのですか?」

大多数の家族は子犬を迎え入れると高揚し、大きな喜びに包まれますが、数ヶ月もすれば、失望してイライラし、青年期の犬を飼い続けたいとは思わなくなります。というのも犬は興奮しやすく、飼い主の言うことを聞かず、コントロールできず、予想かつ予防可能な行動ならびに気質の問題を発達させていくからです。結果的に犬はシェルターに引き渡されてしまいます。

これから子犬を飼う人、あるいは新米飼い主にとって必要な子犬の育て方、トレーニングの仕方に関する情報のほとんどは、私の2冊の電子書籍「子イヌを飼うまえに」と「子イヌを飼ったあとに」を無料ダウンロードすることで入手可能です。
(ページの最後のリンクからご覧いただけます。)この無料電子書籍が入手可能であることを、ニュースレターで宣伝しましょう。

またダウンロードしたうえで、シェルターや保護団体の名前と問い合わせ先を記載してカスタマイズし、お持ちのデータベースにあるすべての犬関係者にメールで送信し、その方々のお知り合いのすべての子犬あるいは成犬の飼い主に転送してもらうよう強く勧めましょう。同時に、私が承認しますので、この2冊の無料電子書籍ととともに、16の行動のブループリント(16 Behavior Blueprints))」
(現在このうちの14の行動についてページ最後のリンクから日本語にてダウンロード可能です。)をCDに焼いて配布していただいても構いません。家庭における子犬の安全な早期社会化と、行動ならびに気質問題の予防の重要性と緊急性を社会に認識させるために、無料電子書籍の配布はこの上ない方法といえます。

オープン・ポーの精神衛生に必要な最低条件(Open Paw’s Minimal Mental Health Requirements)によれば、楽しいだけではなく、教育を受けることもでき、里子としてよりふさわしくなることが、犬にとって最適なシェルター生活であると記載されています。また同時に地域社会の熱心なボランティアの教育の一環になることも望まれます。シェルター犬の身体状態と健康に関する多くのルールや規則があると同様に、犬の精神衛生に関する必要条件を定めるべきであるとオープン・ポーは主張します。

具体的には、快適で、人とふれあう機会があり、教育を受けられ、娯楽のある生活をすべての犬がおくるべきなのです。シェルターでの滞在期間中、犬が抱えている行動、気質、トレーニングの問題を解決し、今後予想される問題を予防し、里子に出すチャンスを高めるべきです。継続的なトレーニングをしない限り、トイレのしつけが出来ている犬はトイレで用を足せなくなり(生活する場所での排泄を余儀なくされ)、落ち着いて大人しかった多くの犬達は(退屈しのぎから)興奮性の高い、騒がしい犬になってしまいます。犬達を里子に出しにくくするのではなく、里子に出しやすくすることが、シェルターの目的なのです。

人手不足、予算不足、加えて設備も不十分なシェルターがほとんどです。その上、犬をシェルターに引き取り、里親を探すことは時間と費用がかかります。(わかりやすい指数として、年間総管理費を里親に出した犬の数で割ってみます。シェルターによって差こそあれ、その額は犬1頭につきおよそ2,000ドルから20,000ドルにもなるのです!)しかし「オープン・ポーのシェルターにおける行動とトレーニングのプログラム」the Open Paw Shelter Behavior and Training Programはシェルターが抱える制約の多くを緩和しながら、シェルター滞在中の犬の生活の質も改善することができるのです。

オープン・ポーのプログラムは多くのボランティアの興味をひき、トレーニングを提供しますので、シェルターで働くスタッフの時間的制約を軽減します。例えば、ボランティアが通勤途中、昼休み、帰宅途中、あるいは夜遅くにでも20分ほどシェルターに立ち寄り、犬をトイレに連れ出し、排泄したことに対してご褒美をあげたらどうでしょうか。数日もすれば、シェルターの犬達の大多数は、もう一度トイレのしつけを身につけることができ(よって里子に出しやすくなり)、スタッフが1日の大半をケージの掃除に当てる必要もなくなります。すべての犬達は、古典的条件付けの時、あるいはオスワリ、静かに、人が近づいてきたらそちらを見る、などのトレーニングをしてご褒美をもらう時に、ボランティアの手からフードが与えられます。またすべての犬達は、空洞になっている噛むおもちゃの中にフードを詰めて与えられ、静かに落ち着くようオートシェーピングされます。

より里子に出しやすくするために、シェルターの多くの犬達は行動の「イメージチェンジ」を急ぐ必要があります。しかしオープン・ポー・プログラムでは、「犬をトレーニングすること」が「教師」となり、ボランティア達を教育します。基本的に、ボランティアは時間を提供し、その見返りとしてトレーニングと応用動物行動学の教育を無料で受けることができます。ドッグ・トレーニング・スクールやアカデミーで同レベルの教育を受けるとなると、高額な学費を支払わなければならず、これほどまでの実践的な実務経験の恩恵を受けることはないでしょう。ボランティアの、専門家としての新たな知識は地域社会に根付き、ボランティア自身の犬だけでなく、その家族、友人、隣人の犬達をも救うことになるのです。

★この取り組みでシェルターが受ける恩恵(メリット)とは?
1. 子犬を育てるというピカイチの仕事をする達成感と喜びを多くの人が味わうことができます。
2. 犬との生活をその生涯を通じて楽しめるようになる人が増えます。
3. 子犬の時に迎えられた家を追い出される成犬が減ります。
4. シェルターに引き渡される犬が減ります。
5. 大学とカントリークラブ(郊外に作られたスポーツ設備を備えた娯楽・保養施設)を足して2で割ったようなシェルターで、滞在中はより楽しくより実りのある時間を過ごすことができる犬が増えます。
6. より多くの犬達が新しい家族を見つけることができます。
7. リハビリを受けた犬達が新しい家族の元で末永く可愛がってもらえます。
8. 地域社会の人々(ボランティアやその友人、隣人)が犬の行動とトレーニングに関する教育を無料で受けることができます。

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