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獣医師は子犬の健康に大きな影響を与える役割を担うとともに、子犬の犬生においてきわめて重要な時期に飼い主に接触できる立場にあります。それゆえに、子犬育てのイニシアチブの成功は獣医師の支持にかかっていると言っても過言ではありません。

獣医師は、子犬が8週齢になったらほぼすべての飼い主と会うことになります。この時期は教育と言う「ワクチン」に最適なタイミングといえます。さらに、獣医師は動物にかかわるプロの中で最も尊敬されている職業です。クライアント(飼い主)は獣医師の言うことであればどんなことでも信じます。ですから次のことを是非推奨して下さい。

失敗させないトイレのしつけと噛むおもちゃのトレーニング(無駄吠えや分離不安の予防にもなります)を継続すること。また、成犬になった時に怖がりになったり攻撃的になったりしないよう、家庭で人に対する安全な社会化を継続すること。そしてトレーナーと連絡をとり、家庭訪問相談をしてもらい、パピークラスに申し込むこと。紹介するに値する満足できるトレーナーがいない場合には、JAPDT会員トレーナーズリストでトレーナーを探すことを飼い主に勧めて下さい。これから子犬を飼う人と新米飼い主さんに必要な情報のほとんどは、私の2冊の電子書籍「子イヌを飼うまえに」と「子イヌを飼ったあとに」を無料ダウンロードすることで入手が可能です。(ページ最後のリンクからダウンロード出来ます。)

クリニック(動物病院)の名前と問い合わせ先を記載してカスタマイズし、クライアントや世界中の同僚の方々に送信し、その人達が知りうるすべての犬の業界関係者に転送するように積極的に勧めて下さい。あるいは、私が承認しますので、これらの無料電子書籍と「16の行動のブループリント(16Behavior Blueprints)」(現在このうちの14の行動についてページ最後のリンクから日本語にてダウンロード可能です。)をCDに焼いてコピーし、配布していただいても構いません。成犬の気質や(良くも悪くも)行動習慣は子犬の早期に形成されます。予想可能な行動問題(排泄物で家を汚す、物を齧って破壊する、無駄吠え、留守番時のいたずら)に加え、分離不安やハンドリングの問題を予防することは、子犬の教育課題の中でも最も緊急性を要するものです。

願わくばブリーダーの犬舎で始めてもらいたいものですが、遅くとも子犬を家に迎え入れたその日から始めてほしいのです。子犬を人に対して社会化することは、子犬が成長していく過程の課題の中で2番目に重要なものです(最重要課題は噛みつきの抑制)。子犬は3ヶ月齢に達するまでに、つまりパピークラスに通うことを考える前までに、充分な社会化を身につけておく必要があります。パピークラスを推奨してもしなくても、家庭内の安全な環境で行う人に対する子犬の社会化の緊急性を是非クライアントに伝えてください。(もちろん外履き靴を脱いで室内に入ることが前提ですが)

きわめて重要なのは、子犬の初受診時に、将来この子犬が人を噛む可能性があるか、という予兆を見逃さないことです。どんな子犬や成犬であれ、手を出されたら後ずさりをしたり首をすくめたりして、人見知りをする、怖がる、あるいは保定すると嫌がるなどの様子が見られたら、トレーナーからのアドバイスを直ちに受けるよう飼い主に勧めて下さい。その子犬はストレスを感じているのであり、今後の受診時には回数を重ねるごとにハンドリングがどんどん難しくなっていくでしょう。自信を持てない怖がりな犬は攻撃性に訴えることがよくあります。

社会化vs感染症のリスク?
獣医は保健医療にたずさわっており、診断し治療するだけではなく、身体的健康、行動・精神的健康の両方の予防医療にもつとめています。身体疾患や内蔵疾患の予防と同じくらい重要であるのが行動、気質、トレーニングの問題の予防なのです。獣医師ならば感染症のリスクを心配することはもっともであり、子犬がパピークラスに通うことへの安全性を心配する獣医師もいます。どんな家庭であってもパルボウィルスに対して100%安全であるとはいえない事実からすれば、室内のパピークラスは比較的安全であるといえるでしょう。子犬が粗相をしてしまったら直ちに後始末がなされ、撥水性の床を漂白剤でさっと拭きます。獣医クリニックでは、クライアントが子犬を車から抱いて連れてきて診察台に乗せるのと同様に、教室でも飼い主が子犬を抱いて連れてくることを勧めることは健全なアドバイスと言えるでしょう。ワクチンが済んでいない子犬にとって最もリスクの高い場所は、獣医クリニックの駐車場の地面と、待合室の床の上の二箇所です。ワクチン接種していない犬達によって汚染されている公共の場に、子犬を頻繁に連れ出すことを急ぐ必要はありません。しかし、家庭内の安全な環境の中であるいはパピークラスにおいて、人に対する社会化を身につけハンドリングされることを楽しむこと、噛みつきの抑制を身につけることは一刻を争う課題です。

パピークラス参加における潜在的感染症のリスクは限られてはいますが、以下の論文と立場表明に詳しく述べられています。
・ 子犬の社会化に関するAVSAB立場表明
・ パピーワクチンと早期社会化の連携

子犬の早期社会化クラス:リスクvs恩恵
という議題で議論されたキャスラン・ミーヤー獣医学円卓会議において、4名(イアン・ダンバー博士、ブレンダ・グリフィン博士、カースティー・セクセル博士、ジェニファー・メッサー博士)の参加者に投げかけられた最終質疑は最も啓発的なものといえます。「パピークラスに参加した結果として感染症が広まるという根拠があるでしょうか?」会議に参加した全員の答えは「NO」であり、その会議の時点で全参加者は10〜27年もの間、パピークラスを教えていた経験の持ち主でした。

私自身は30年間パピークラスを教えていますが、いまだに私の答えも「NO」なのです。それどころか、私が今でも開業獣医をしていたなら、すべての子犬はパピークラスに参加すべきであるとクライアントに説くでしょう。なぜなら、怖がりで、診察を嫌がり、攻撃的になる成犬よりも、自信があり、落ち着いて、友好的な成犬をハンドリングし、診察する方がずっと好ましいからです。

パピークラス
子犬の社会化をするのがパピークラスだと思っている人がほとんどです。現実には、パピークラスは安全な公共広場といってもいいでしょう。すなわち、
1.すでに社会化されて、ハンドリングのしやすい子犬がオフリードによる社会化と人(とくに子供、男性、見知らぬ人)にハンドリングされることを継続する場である。
2.他の子犬との社会性を養うことによって、噛みつきの抑制(甘噛み)を身につける。
3.確実なオフリードでのコントロールを飼い主が学ぶことにより、子犬が他に気を取られていても、遠くにいても、コマンドには直ちに喜んで従うようにする(家庭では犬は常にオフリードの状態です)。そのためには、パピークラスはオフリードで指導し、短いトレーニングとハンドリングのセッションを数多く挟みながら、プレイセッションを進行させていくべきなのです。

★この取り組みで、獣医師が受ける恩恵(メリット)とは?
数限りなくあるでしょう。犬の行動は獣医師の仕事に大きな影響を与えます。マナーを身につけ、お行儀良く、性格の良い犬を診察する時は、獣医師は仕事を効率良く進めることができます。行動、気質、トレーニングの問題を抱えた犬を診察する時は、時間的効率が悪く、経済的な負担もかかり、獣医師だけでなく、飼い主や動物のクライアントにとっても不愉快な思いをしなくてはなりません。

気質の問題を抱えている犬には時間がかかります。さわられることを嫌がる怖がりな犬を保定し、診察する時はなおさらですし、攻撃性のある犬を診察することは時間がかかるだけでなく危険でもあります。さらに、見知らぬ人に見知らぬ場所で保定され、診察されることを楽しめない犬にとって、定期的な通院はきわめてストレスのかかることなのです。

単純で予想がつき予防可能な行動問題こそが、飼い主が犬をシェルターに引き渡す最大の理由になっているのです。飼い主は犬を失い、犬は質の高い生活を失い、獣医師は動物のクライアントを失うことになります。しかし一方で、パピークラスに参加したことのある飼い主は、犬を飼い続ける可能性が高くなります。ですので、新たに子犬を飼ったクライアントに2冊の電子書籍を勧め、以下のことを積極的に推奨することはいかにも理にかなっています。

1. 家庭訪問相談をしてくれるトレーナーを直ちに探し、失敗をさせないトイレのしつけ、噛むおもちゃのトレーニング、留守番の準備についてアドバイスを受けること。
2. 子犬の社会化とハンドリングのために、親戚、友人、隣人を数多く家に招くこと。
3. 子犬が18週齢になる前にパピークラスに参加すること。

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